パソコンはいわゆる「デジタル遺品」の一つで、近年問題視されています。パソコンには個人情報が多く入っているうえ処分方法も限られているので、処分する際に困ることが多いのです。本記事では、遺品整理時にパソコンが出てきた際の対応方法や、パソコンを処分する方法について詳しく解説します。

パソコンの遺品整理は大変なことが多い

パソコンの遺品整理が難しい理由は、主に2つの側面から説明できます。

一つ目は「デジタル遺品の管理」が必要であること、二つ目は「普通のゴミとして捨てられない」ことです。

パソコンはデジタル遺品

まず、パソコンはデジタル遺品の一部として扱われます。

デジタル遺品とは、故人が残したデジタルデータやインターネット上のアカウント、サービスの利用情報などを指します。パソコンには、メールや文書、写真、金融関連のデータなどが含まれていることが多いです。これらは故人のみが知っている場合が多いため、遺族がアクセスするのは非常に困難です。

特にログイン情報が共有されていない場合はパソコン内のデータにアクセスするのは難しく、デジタル遺品の取り扱いが複雑になります。さらに、インターネット上の様々なサービスに登録している可能性があり、これに関するトラブルを防ぐためには、詳細な確認と適切な対応が必要です。

このため、デジタル遺品は、ただのデジタルデータの管理以上の難しさを伴います。

普通のごみとして捨てられない点もネック

二つ目の理由は、パソコンが普通のゴミとして処分できない点です。

パソコンは「資源有効利用促進法」に基づき、メーカーによる回収と再資源化が義務付けられています。パソコンの内部データを完全に削除したとしても、普通のゴミとして捨てることはできません。パソコンを適切に処分するには、メーカーに回収を依頼するか、家電量販店の回収サービスを利用する必要があります。

また、地域によっては自治体の指示に従って適切に対応することが求められます。このように、パソコンの処分には法的な手続きと手間がかかり、通常のゴミ処理とは異なる対応が必要です。

遺品整理をしているときにパソコンが出てきた時の対応とは

遺品整理でパソコンが出てきたときの対応については、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

処分する前に遺族で中身を確認する

まず、パソコンなどのデジタル遺品が見つかった場合、処分を始める前に必ず遺族で確認を行うことが基本です。

パソコンには故人の思い出や大切なデータ、さらには金銭に関する情報も含まれている可能性があります。そのため、勝手に中身を確認せずに廃棄するのではなく、相続人全員で話し合い、どうするかを決めてから対応を始めるべきです。

むやみにパスワードを試すのは避ける

次に、つまりパスワードがわからず中身を確認できない場合は、むやみにパスワードを試すのは避けるべきです。

パスワードを間違えて何度も入力すると、ロックがかかることがありますし、初期化するとデータが消失する恐れもあります。こうした場合は、デジタル遺品に特化した業者や、パスワード解除を専門とする業者に相談するのが適切です。

ネット銀行・ネット証券の資産の対応は速やかに行う

また、パソコンに保存されている情報には、ネット銀行やネット証券などの金銭取引に関するデータも含まれている可能性があります。

これらの情報は相続財産の対象となることが多く、電子マネーなども同様です。遺族がこれらの資産を受け取るためには、速やかに対応する必要があります。そのためには、関連する窓口を調べ、必要な手続きを行うことが重要です。

場合によっては負債が大きいこともあり得るため、遺産放棄を検討する場合もあります。パソコンの中身を早めに確認することで、これらの問題を未然に防ぐことができます。

利用しているサブスクサービスを共有する

さらに、ネット上のサービスやサブスクリプションサービスの情報が家族に共有されていない場合、遺族の負担が増すことがあります。

利用していないサービスの解約漏れで利用料金が発生する可能性もあるため、できるだけ生前に利用中のサービスの一覧を家族と共有しておくことが望ましいです。

パソコンを処分する方法を紹介

パソコンを処分する際の方法について、以下の点を押さえておくと便利です。

パソコンはそのまま捨てることができず、個人情報保護の観点からも適切な処分が求められます。データを完全に削除し、初期化を行った上で処分する必要があります。パソコンの処分方法として、一般的には以下の選択肢があります

指定回収場所への持ち込み

例えば、仙台市ではノートブックパソコンを市内の小型家電回収ボックスに持ち込むことで処分できます。

役所やスーパーマーケット、ショッピングセンターに設置されている回収ボックスにパソコンを入れるだけで処分が完了します。

家電量販店への持ち込み

家電量販店では、パソコンを店頭に持ち込むことで処分できます。

例えば、ヨドバシカメラでは、パソコン本体の他に、タブレットや携帯電話、デジカメ、ビデオカメラなども無料で回収しています。ケーズデンキなどでも同様のサービスが提供されていますが、その他の家電については料金が発生する場合があります。

業者での宅配回収

小型家電の宅配回収を行っている業者を利用する方法もあります。

指定サイズ以下のダンボールに不要なパソコンを詰めて申し込み、業者に回収を依頼するだけで処分が可能です。無料で回収してくれる業者も多く、古くて壊れたパソコンも対応してくれます。キーボードやマウス、スマホ、タブレットも含めた回収が可能です。

まとめ

遺品整理でパソコンが出てきた際の対応には、2つの重要なポイントがあります。まず、パソコンには個人情報やデジタルデータが多く含まれているため、遺族全員で中身を確認し、どう処分するかを話し合うことが大切です。次に、パソコンは普通のゴミとして捨てられず、適切な処分方法が求められます。指定回収場所への持ち込みや、家電量販店での回収、宅配回収業者の利用などの方法があります。データの完全削除や、専門業者による消去サービスも忘れずに確認しましょう。

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